ダンサー・イン・ザ・ダーク(2000・デンマーク)録画したのを鑑賞 

公式HP(デンマーク版) http://dancerinthedark.com/

1960年代のアメリカの片田舎が舞台。チェコからの移民セルマは遺伝性の病気のため視力をほとんど失い失明する運命にあった。彼女の息子ジーンも手術を受けないと失明してしまう。工場で働きながら余裕のない生活をし、息子には内緒で手術費用を貯金するセルマ、心の支えは愛する息子とミュージカル。温かい隣人と友人に囲まれ必死で働いていたセルマだったが、たび重なるミスで工場をクビになり秘密の貯金を隣人に盗まれた事で彼女の運命は悲劇へと向かっていく。

年末にテレビで放映してたんで正月に見ようと録画しておいたけど、新年早々なんて重い映画を見てしまったんだ・・・。心にずしん、ときました。しばらく重いテーマの映画は見たくないくらい。

ミュージカルはあんまり好きじゃないけどビョークの歌はいいな〜と思いました。暗い話の中でミュージカルシーンは明るくてこれが唯一の救いだな、と。工場で歌って踊ったり、貨物列車を舞台に歌ったり、裁判所で歌って踊ってタップダンスしたり・・・華やかでない場所で展開されるミュージカルは意外性があって面白かったかも。警察だって踊るんだから(踊る大捜査線、違っ)裁判所だって踊らなくちゃ!。

救いようがない暗いストーリーだと先入観があってちょっと見るのをためらっていた。う〜〜ん・・・悲劇といえば悲劇だけど救いがない訳じゃなかった。どんなに現実が辛くても深い深い暗闇でも頭の中は自由、人は光を見つける事が出来るし、小さくても喜びを見つけ出せたら救いのない人生なんかじゃない。

一番泣いてしまったのは、「なぜ、遺伝すると分かっていて(息子を)生んだのか?。」という問いに「赤ちゃんをこの手に抱きたかったから、胸に抱きたかった。」とセルマが答えるシーン。去年、友達が出産して(まぁ、何の予定もないんだけど)自分もいつかは子供を産むのかなぁ、とか考えると何ともいえない感情が湧いて涙がこぼれてしまった。

赤ちゃんを抱くためにセルマが払った代償はなんて大きいんだろう・・・。

↓ラストに触れてます。見たい人はドラッグして下さい。↓

息子の手術代で弁護士を雇って控訴をして死刑を免れる事が出来たのに、息子が孫の顔を見る幸せのためにそれを拒否したセルマ。死刑執行の時に恐怖のため立つ事も出来ない、それでも女性刑務官に励まされて、大好きなミュージカルを空想する事で絞首台まで歩く。クビに縄をかけられて恐怖のあまりに泣き叫ぶけど、友人からジーンの眼鏡を渡され無事に手術が終わった事を知ると穏やかな顔になり息子を愛している〜と歌うセルマ。不幸のどん底でも光を見つめ続けるセルマの姿にもう、涙×1000。歌っている途中で床が抜けてセルマの体が吊らされるシーンはかなり衝撃的でした・・・も・・・もう・・・もう一度見るとしてもあそこだけは見たくない。
そもそもセルマが息子のために貯金していた手術代を隣人が盗んだのが悪いのに・・・確かに殺人は罪だけどあまりの理不尽さに怒り心頭・・・。なんで言い訳しないんだーーーっと思ったけど彼女の望みは自分が助かる事じゃなくてあくまでも息子が手術を受ける事だったんだよな・・・だから死刑になっても息子の目が見えるようになればそれで彼女は救われるのかな。

いいか悪いかは別として心に響く映画。色んな感情を逆立てられた。
でも、やっぱり楽しい映画を見たいな・・・。