マグダレンの祈り(2002・英・アイルランド)レンタルして鑑賞 

より詳しい情報はこちらで→http://www.coda21.net/eiga3mai/text_review/THE_MAGDALENE_SISTERS.htm

1964年、アイルランド。マグダレン修道院に、時を同じくして3人の少女が収容される。孤児バーナデットはその美しさで周囲の少年たちの目を惹きつけてしまうことが、マーガレットは従兄弟にレイプされたことが、そしてローズは未婚のまま赤ん坊を産んだことがそれぞれ“罪”とされたのだった。彼女たちは、修道院を管理する修道女たちに性悪女と決めつけられ、祈りと労働によって神に奉仕し“罪”を悔い改めるよう言われるのだった。しかしそこで彼女たちを待っていたのは、過酷な労働と自由の一切ない刑務所以上に非人間的な環境だった。

アイルランド中の「性的に堕落した女性」の更正施設(マグダレン・ホーム)がすべて閉鎖されたのは1996年の事だそうだ・・・つい最近までこんな監禁施設があったなんてそれがまず衝撃的でした。
1960年代のアイルランドの社会事情や宗教観、倫理観などある程度予備知識を持って見たらあまりの理不尽さに怒りを感じた。

冒頭の結婚式のシーンでいとこにレイプされてしまうマーガレット。
にぎやかに鳴り響くバグパイプの演奏とダンスに彼女の叫びはかき消されてしまう・・・数日後に突然父親に連れ出されてマグダレン修道院に収容される。ってココでもう怒りが・・・なんでレイプされた被害者のマーガレットを修道院に入れるの!?レイプしたいとこの方は何のおとがめもないの!?なーんで女の子が不貞になるんだよぉ!?。

それに増してもひどいのは修道院の中の方!。

私語さえ許されない厳しい監視、一切の自由がない生活、神の名の下で・・・罪にけがれた女性たちの許しのためにという名目で虐待をするシスター、自らの快楽のために少女を利用する神父・・・。

何よりも憤りを感じるのはそういう事を許していた社会背景!!うがーー!!古いものって確かに大切だし守る事かもしれないけど、古臭い因習やゆがんだ信仰なんてもんは人間を苦しめるだけじゃないかぁ!!。
この時代では収容された少女たちが「悪」でそれを正そうとしているシスターたち修道院側が「善」・・・だからといってもやっていい事といけない事があるだろうに!。
キリスト教圏の人が見たらまた別の感想や衝撃があるんだろうなぁ・・・。

娯楽映画ではありません、エンタ性がある映画でもありません。だけど見ておいた方がいい映画です。
修道院に限らず、大義名分をかざして人間を踏みつけるような事はあってはならないと思う。
会社とか学校とか・・・規律や伝統は大切だけど古く、ゆがんだモノは変えていかないと腐敗するだけ。
次第に狂っていくクリスピーナが修道院の異常性の象徴だと思う。

実話を元にしているのでかなり映画の雰囲気は重いです。
R−15指定だけど暴力的なシーンやエログロシーンはなかったなぁ・・・残酷な描写はないです。