父、帰る(2003・ロシア)

公式HP http://chichi-kaeru.com/

母とつつましく暮らしていた兄弟のもとに、突然、12年も家を離れていた父が帰ってくる。写真でしか顔を知らなかった父の帰宅に兄弟は戸惑うが、父は家長然と振る舞い、母もそれを平然と受け入れる。翌朝、母の提案で兄弟は父とキャンプに出掛ける。兄のアンドレイはたくましい父をすぐに慕い始めるが、弟のイワンはどうにも父を信用できず、抵抗してしまう。3人はぎこちない雰囲気のまま、目的地のとある無人島を目指すのだが…。

ロシアの景色って・・・まっすぐ!地平線と水平線がとにかくまーーーすぐ!。どこまでも広く青い空と抱えきれないくらいに大きい白い雲と目の前に広がる海の青さの美しいコントラストにうっとりした。とにかく今まで見たどの映画とも違う風景が印象的。
いたれりつくせりで何から何まで説明&解説してくれる映画と違って説明らしくものはまったくありません。謎は謎のまま解明されないで終わります。観た人が自由に想像を膨らませて自由な解釈を楽しむ映画。
これって自分が男でなおかつ兄弟がいたらもっと違う見方が出来たのに。父と息子の対立とか葛藤って大人になるためにとても大切な事なんだろうなぁ・・・大人の階段の〜ぼるぅ〜♪キミはまだシンデレラさ♪・・・じゃないってば(^^;。息子を持つ父親は「ワンパクでもいい、たくましく育ってくれ!」と願うものなんだと感じた。
父親の愛し方と母親の愛し方は違う、ちゃんと人を愛せる人間になるためには両方の違った愛情が必要なんじゃないかな。男が乱暴ではなく本当の意味で「たくましく」ないと女が甘やかすのではなくすべてを包み込む「やさしさ」を持ってないとちゃんとした人間を育てられないんだと考えてしまった。父親は子供に守らなくてはいけないルールを教えるべき存在なのだろう。
対立していた父と息子が感情をぶつけあい、だんだんとお互いを知り最後には理解しあう、という分かりやすい感動ストーリーではありませんが心に残る映画です。分かりやすい感動映画をお求めの人は「ビッグフィッシュ」の方がいいかも。
ラストは淡々と写真を映し出してそしてエンドロール、アナログなカメラがいい味だしてました。
面白かったというよりなんか色々考えてしまった映画。